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書籍レビュー【ローソク足チャートで勝てる買い方・売り方】伊藤智洋氏

投稿日:2021年6月24日 更新日:

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①チャート分析はなぜ有効か

冒頭で伊藤氏は、チャート分析の優位性についてこのように語っています。

短期的な値動きの判断は、現状把握の積み重ねであって、その日々の積み重ねの中でほんの少し先の未来がわかるときがある

少し抽象的な表現ですね。
『現状把握の積み重ね』について、このように口述していました。

ローソク足の形やパターンから翌日の動きをいくつもイメージし、翌日の実際の動きからなぜそのようになったのか理由を考え、その理由に対してさらに翌日、市場参加者がどのように反応するのかを考えて、値動きをいくつもイメージする

続けて伊藤氏は、競馬に例えてこのように表現しています。

競馬は、出走前に投票するため、完全な未来予知になります。八百長でもない限り、馬券の当たりはずれは偶然でしかありません。
しかし、競馬で最終コーナーを馬が回って最後の直線に入り、明らかに伸びてきた馬が出てきたときなら、かなりの高い確率で未来を予知できるはずです。ここで投票できれば、高い確率で利益をものにすることができます。

②予測可能な場面は決まっている

相場を予測するにはある『前提』があると言います。

多くの市場参加者が積極的になっているときだけ、将来の値動きを予測できる」

(中略)

多くの市場参加者が積極的になっている場面=人気化している場面

ここで『多くの市場参加者』と著者は言っていますが、実際に株価を動かすのは大きな金額を持っている【大口の投資家】です。

株価の動きで利益を得ることを目的とした莫大な資金を持つ投資家が存在し、1年を通じて積極的に上下へ動かしている、という前提こそが、株価の動きを予測するのに最も重要なファクターなのです。
年間を通じて市場に注目し、株価に一定の値幅の動きを作り出して、利益を得ている側の存在があるからこそ、チャートの示すこれから上昇する、下降するというサインが役に立つのです。

③ローソク足こそ「事実」。メディア情報が判断の邪魔になる。

「日米首脳会談で日米貿易摩擦解消に向けた合意が得られる可能性が高くなったため、安心から積極的に買われた」といった報道がされることがあります。しかし、これはメディアの見方であって、真の理由かどうかはわからないし、事実ともいえません。このような理由づけを信じてしまうと、わからないことに対してわかった気になってしまいます。こういう思い込みは投資行動にとってこれ以上ないほど判断の邪魔になります。

たしかに株価や日経平均などの指標が大きく動いたとき、無意識に「なぜ上がったか(下がったか)」という明確な理由を求めてしまいますよね!
その日の大きなニュースであることは間違いないのでしょうが、実際に株を買ったり売ったりした当人がどのような理由で買ったのかは誰にもわかりません。なので「値動き」という真実だけを見つめていくのが正解なのでしょうね。

④日足で市場参加者の思惑が現れる

上昇で終わった銘柄は「翌日からの上昇継続に不安がない」

本書では、日足によってローソク足の見方について解説します。それは多くの市場参加者の思惑が現れるのは日足だけだからです。

分足も細かな上げ下げをチェック

その日の価格がどのように動いたのかを詳細に確認することができます。
たとえば、日足で上ヒゲの長い足をつけた場合、高値を午前中につけたのか、引け前につけたのかは、日足のローソク足からはわかりません。高値を午前中につけて、それ以上上がらなかったのにもかかわらず、午後になってなかなか下がらないのなら、相場の下降はその日だけの動きかもしれません(下図A)。上ヒゲをつけた後、取引終了前に価格を一気に下げたのなら、その下げの流れが翌日にも影響する可能性があるかもしれません(下図B)。

週足・月足も長期的な値動きの予測をするためにチェックする

月足や週足は、長期的な値動きを予測するために使います。現在、長期的に上向きなのか、下向きなのか。また、いつまで、どこまで上げる(下げる)可能性があるのか、ということの目安を立てるときに用います。

「長期的」というのは数週間~数か月程度のことを指しています。

今後上がりそうか下がりそうかを判断する基準は、直近の安値と高値を見ます。仮に直近安値を今後下回ることがあると、「投資家に積極性が見られない(かなり弱い)」と推測できるとのことです。

⑤大陰線で下げ切ったと判断できるケース

大陰線は投資家の強い売り人気を示しますが、もう一つ、重要な点を示唆しています。それは「下げ止まる値まで一気に下がった可能性がある」ことです。
大陰線は、売り人気が圧倒的に優勢になったことによってつけるローソク足です。しかし、その日1日で売りを出す投資家が少なくなっている、つまり、下げ切ってしまった可能性があり、そうなると大陰線をつけた安値や終値付近で下げ止まることがあります。しかも、大陰線の安値や終値付近の割安感に目をつけた新規投資家の積極的な買いが入り、翌日上げ幅の大きい動きになることもあります。

大陰線にはこれらの意味があることを認識した上で、翌日以降の値動きを追う必要があるとのことです。
普通、〈大陰線=売り〉と捉えてすぐに売り注文を出したくなるところですが、狼狽売りせずに翌日の値動きを確認してからアクションを起こすのが良さそうですね。

同じ値幅の陽線でも値位置によって異なる判断になる

問題です。以下のA、B、Cのうち、今後上昇に転じる可能性が高い順に並べ替えてください。

正解は・・・

C→B→A

Cは大陽線で前日の下げ分をかなり取り戻す動きになっているので分かりやすいかと思います。
このように『前日の値動きの中心値以上』に下から戻す大陽線が現れた形は切り込み線と呼ばれ、強い反転上昇のサインとして知られています。

👇参考

一方、AとBの順番は、判断が難しいところです。両方の陽線の値幅は同じです。

ポイントは、陽線が出現する場所です。

Aは前日の安値近辺で推移しており、小休止小動きといわれる動きです。
BはAよりも寄付値が高く、下値からの反発幅が大きくなっています。(チャートだけ見るとわからないが、前日比の上昇率はB>Aとなっている。寄付後は特別買い気配により、チャート上には表れないギャップが存在している。)

Bのように下降局面で大陰線が現れた翌日、その陰線の中心近辺で価格が推移して陽線になった形は強気のはらみ線と呼ばれています。

👇参考

2日間の動きを一つのローソク足として表すと、一目瞭然ですね。

※まだ前日の始値を超えておらず、勢いよく上昇していくほどの積極性があるとは判断できません。翌日の動きから投資家の買い意欲を確かめる必要があると考えるべきでしょう。

最後に★個人投資家の最も賢明な投資方法

「投資によって利益を得たい。そのために将来を予測したい」のなら、ローソク足は何本になろうとも、どういう形であろうとも見るべきポイントは変わりません。たとえば、下降から上昇への反転なら、P58で示した「あいまいな下値堅さなのか、明確な下値堅さなのか、今後人気化するか」を確認するだけです。見るべきポイントを絞った上で「同じように利益を得たい他の投資家はこの値動きを見てどう行動を起こすのか」を考えて、日々の分析を積み重ねることです。そして最後の直線で抜け出した馬を見つけてから投票するように、「かなりの高確率で利益を得られる」チャンスに投資行動を起こすのが個人投資家の最も賢明な投資方法といえるのです。

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