金融・投資本

現在にも通用する相場術【自伝 波乱を生きる 相場に賭けた六十年】是川銀蔵著

投稿日:2019年8月24日 更新日:

結構昔の本ですが。
投資以外にも是川さんの生き方がとても面白くて刺激的だと聞いたので、買ってみました。
時代を感じる内容でしたが、今に通じる点は結構多いなと感じました。
投資とは全然関係ないことや、人生について語る箇所も多く、散発的ですがメモとしてまとめました。

まえがき

私は自らの人生を自らの手で綴ることにより、株で成功することは不可能に近いという事実を伝える使命があると思い、筆をとることにした。

世間の人達は、私があたかもこの“不可能”を覆して株の売買で成功し、巨万の富を得たと思っているであろう。しかし、決してそうではない。私は実際、今でもすっからかん。財産も何も残ってはいない。

株により巨万の富を得、大金持ちになって豊かな生活がしたい、という目的でやったら必ず失敗する。

私の株式投資の原点は、昭和二年の金融恐慌の影響を受け、三度目の倒産を経験した後、図書館に三年間通い、独学で日本を始めとする世界経済とそれをとりまく諸問題を徹底的に勉強したことだ。

昭和五十二年の日本セメントの大勝負では三十億円を稼いだ

五十七年の住友金属鉱山では二百億円の利益を上げた

小学校しか卒業していない私にとって、大学出で威張っている連中を蹴散らすつもりの七転八起の戦いの人生であったが、株式投資という社会の中で、勝負師として自分の思う通りに生き抜いてこれたことに感謝している。

バブル崩壊について語る

今回のこの下げ相場の原因はハッキリしていた。私はその名称を聞くのも嫌なのだが、実は、機関投資家と称され、余剰資金を持つ生命保険会社や信託銀行などの、大口の投資家がその有り余るカネで株を買い、相場をつり上げ操作していた結果である。

余剰資金で現物を買え

いかに相場に熟練した投資家でも、下げ相場の過程では不安にかられ、持ちこたえられずに手持ちの株を投げ出してしまう。事実わたしも何度かこうした心理状況の中で痛い目にあわされたことがある。

不安に襲われ、持ちこたえられず安値で投げてしまうために大損を出すのだ。しかし、手持ちの余剰資金で投資活動をしていれば、不安はあっても投げるまで追い込まれることはない。投げない限り実損はないわけである。だから私は、

「借金や信用はいかん、余剰資金で現物を買え」と奨めたのである。

株価が大天井を打つ時

株価が大天井を打つ時は、不思議に高音乱高下の現象を起こし、その後総買い相場で大天井を構成する。しかも大天井を打てば、必ず株価はすぐに暴落する。この時が、その状況だったのである。

大暴落を裏付ける顕著な状況がある。その原因はアメリカの経済がすでに財政赤字と、国際収支の赤字という双子の赤字を抱え、財政破綻が抜き差しならぬところまできているということだ。

アメリカは一九八五年には、第一次大戦以来、実に七十一年ぶりに対外債務が対外債権を上回る“債務超過国”に転落してしまったのだ。

こんな借金国に誰がカネを貸すかね。これまで対米輸出の貿易黒字でどんどんアメリカに余ったカネを投資していた日本の機関投資家が、すでにこういったアメリカの状況を見抜き、投資を控えるようになった。

事実、一、二月には百億ドル以上あった米国債購入が、三月には二十億ドルに下がっているので。

となれば、アメリカはいままでのように輸入を続けるわけにもゆくまい。日本もこれまでのような貿易黒字は出せなくなる。

したがって、どういうことが起こるかといえば、一ドル百四十円という当時(六十二年四月二十日)の為替相場は一挙に崩れる。一ドル百円割れも起こり得ぬことではなくなる。

インフレ、デフレに強い金の地金を、株を売ったカネで買っておけ、というのである。

アメリカの金利は暴騰し、インフレ懸念から経済不安が広がり、ドル安要因が引き起こされる。これが、ドル暴落のシナリオの一般論であった。

一九二九年の恐慌では、各国が保護貿易に走り貿易戦争が熾烈を極めた。日本が満州を独占市場にし、ドイツはオーストリア支配を目論んだ。こうした野望が世界大戦につながったのだが、現在は各国とも自由貿易市場をとっていることで貿易戦争が起こることはまず考えられない。

パニック状態に買う

(昭和六十二年十月二十日 今回のニューヨーク市場の大暴落は、実はコンピューターによるシステム売買のミスが原因とハッキリわかっていたのである。)

他の投資家が、パニック状態に陥り、その後の株価の動向に戦々恐々としている時、その時こそ、何年に一度という最大の買い場なのだ。

こんな時期に私は“鉄鋼株は買えるだけ買え”と推奨銘柄のトップに推した。その理由は“円高・ドル安、金利安、原油安”というトップメリットで内需が拡大し、必ず鉄鋼需要が増える、と読んでいたことだ。

豊臣秀吉

私は当時、朝日新聞の朝刊に連載されていた新聞小説「豊臣秀吉」を仕事が終わった後に読むのが唯一の楽しみであった。

尾張の国(愛知県)の中村の貧農の小倅から身を興し、ついに天下を統一した豊臣秀吉の人間としての業績に感動し、私の理想の人物として尊敬していたのである。

当時そんなことを口に出せば、誇大妄想の変人とも見られかねない。だが、私は真面目で真剣だった。明けても暮れても毎日、「天下を取る」ことを考え続けていたのである。

だから勉強は仕事以上に夢中でやった。何も学校だけが勉強のできるところではない。仕事の終わった後、ソロバン、簿記、会計を始め、社会、経済まで毎晩深夜まで勉強をした。

失敗したとしても

ひと晩中、青島の街を彷徨し、夜が明け始めた東の空を見て、ハッと気づいた。もう一度、やり直そう。人生は七転び八起きだ。山があれば谷もある。今度は、努力してこの谷を昇るんだ。と決意した。

苦しい日々もいつかは楽しい思い出に

過去を振り返れば、みんな楽しい思い出になってくる。人間というのはつらい、苦しいことは日が経つとともにその苦しみはやわらげられ、楽しい思い出として残るようになるようだ。

人間は100年以上生きられる

アメリカの医学者二人が数十年かけて、人間の生命について研究した報告書の翻訳本があった。実に精密に真面目に研究した本で非常に啓発を受けた。結論からいうと、この著者は、

「人間の生命は自然の法則に従って生活していれば百年以上生きられる構造になっている。それが、六十年、七十年、八十年生きただけで長生きしている、といわれるようになったのは人間が自然の法則に反する生活をするようになったからだ」

と結論づけている。

なぜ自然の法則を破り始めたのか、それは人間の生活が向上し、贅沢をするようになったため、人間の生命は本来の生命力だけで生きられないようになってしまったのだ。

その最大の弊害がアルコール、その次は梅毒。

意志の強さ

これだと思ったら、どんな困難があってもやり通す。しかし、やっちゃあいけないことはどんな誘惑があっても手を出さない。この意志の強さがいまの相場師・是川銀蔵を作ったのだと思っている。

資本主義経済はサイクルを繰り返す

資本主義経済は、絶えず次なる状態に移行していく波動を繰り返す。金融パニックが起こったりするのは、そこにおける利潤の追求の機構そのものが混乱を起こさせるもので、利潤を追求する以上は、経済の変動は不規則ではあるが、一定の大きなリズムで起こるのは避けられない。いわゆる経済変動は経済の実態からくる自然現象なのである。

たとえば、経済の波が下降線を辿っていても、それは永久的な下降ではなく、下ることが次への状態に移行する、エネルギーになる。また、経済が上昇線を辿っていれば、それは次の状態として下降へのエネルギーを貯えつつある。経済変動の波に大きな差があるのは、その時の政治を始めとする経済を取りまく環境条件に変化があるためなのである。

「経済には永遠の繁栄もなければ、永遠の衰退もない」、これこそ資本主義経済の本質なのだ。

自分で勉強したことには信念を貫ける

国際経済の流れを体系的に比較し、資料を徹底的に分析した結果、そこから生じるだろう変化を先取りして判断を下していく。これが私の基本的な勉強法となっているのである。

もちろん、現在も国際経済の分析を自分でやっている。毎朝八時には各証券会社から外電が入ってくる。ここから私の仕事は始まるのだ。ニューヨーク、ロンドン、フランクフルト市場のダウや銘柄相場、金、銀、銅など非鉄金属相場と在庫、入・出庫状況、もちろん為替相場、金利、少なくとも必ずこれだけは毎日記録にとる。

ともかく、自分で研究し、確信を得たことに対しては、いかなる力にも屈しなかったし、その信念を貫き通した。

自分で一度確信したことを他人の横槍で曲げてしまうことは結局、研究、分析、判断がまだそこまで行きついていないということなのだ。

人口の多さが経済の成長につながることは歴史が証明している

マッカーサー元帥が日本の占領政策のためにまとめた日本国民に告ぐという布告文

「日本再建のためには武力を放棄し、ヨーロッパのスイスのような文化国家を作れ。そのために食料の生産能力、資源の分布からして国として存立するための日本国の適正人口は四千万人だ。日本復興のためにまず第一に人口制限をやれ」というものだった

人口が四千万人しかいない国では、永久に一流国家などにはなれないことは歴史が証明しているのだ。戦争に一度や二度負けても再び立ち上がってくるのは、人口が多い民族なのである。アングロサクソン、ロシア、ゲルマン民族がそれを証明しているではないか。

人が気づく前に早く行動する

関東大震災でトタン板を買い集め大儲けした時もそうだった。人が気づかぬところにいかに目を配り、人が気づく前にどれだけ早く行動しているか。買って、売って、休む。これが商売で成功する三筋道なのだ。これはまさに株で相場を張ると同じ呼吸なのである。

「株式投資はちょうどウサギとカメだ」

ウサギは自分を過信しすぎて勝負を急ぐあまり途中で没落していく。一方、カメは遅いようでもちゃんとゴールに入っている。

「カメ三則」

①銘柄は水面下にある優良なものを選んでいって持つこと。

②経済、相場の動きからは常に目を離さず自分で勉強する。

③過大な思惑はせず、手持ち資金の中で行動する。

商売の道はひとつなのである。株式投資の基本が“カメ三則”ならば、不動産投資においても基本はやはり同じなのだ。ニュータウン構想の情報を早くつかみ、誰もが予想もしない水面下のうちに安値で買収してじっと値が上がるのを待つ。先を読み、値上がりを確信した上の勝負なのだ。

「もうは、まだなり。まだは、もうなり」

三昧伝の相場の秘伝にあるように、「もう」天井だ、これからは後退すると思う時は、「まだ」という心で控え、もう一度考えてみるということを教えている。つまり、「もう上がらぬ」は、「まだ上がる」ということなのである。人気と、相場の実際の動向とは常に逆比例、反対の動きをするものなのである。

三億円を元手に、一昨年の十一月から命を賭けて勝負をしてきた日本セメント株の仕手戦で、とうとう三十億円という巨額の儲けを手にすることができた。

勝利の大きな原因は、

「野も山も、皆いちめんに弱きならあほうになって米を買うべし」(三猿金泉秘録)

つまり、ボロ株といわれ世間が見向きもしない時に、水面下で安い株を拾い集めて、じっと育つのを待つ。自らの投資哲学を信じ、忠実に行動し、信念を貫き通したこと。

「まだは、もうなり」の心を忘れず、“腹八分目”で満足したことである。

一生のうち数あるチャンスを活かすために

人間の内部に眠る可能性を引き出すのが教育だ。才能がありながら貧困のためにそれを埋もらせてしまうことは国のためにも大きな損失になる。

人間には、一生のうち二度や三度のチャンスはある。それを生かすか殺すかの決断のために、日常の努力と精進、そして真面目といった理論と実践とを通じて日夜思考の訓練を重ねることが成功への確率を増進する。そのために数多くの真剣勝負を経験し、勝負勘を養うことだ」

警告

第一の警告

自分の持てる資金の範囲内で投資をすること

第二の警告

新聞や雑誌で大見出しにされる材料に飛びつくな

だいたい、人の意見や新聞、雑誌の記事で儲けようという精神そのものがすでに失敗のもとだと私はいいたい。自分で努力せず、骨折らずに勤めの片手間で儲けようということでうまくいくはずがない、ムシが良すぎる。サラリーマンが二足のわらじをはいてそんなにうまくいくほど、株の世界は甘くない。

私は、新聞は「日経」一紙しか読んでいない。ここに出ている内外の経済現象をじっくり見守っていれば先行きの見当はついてくる。閃きではなく、毎日、継続して注意を集中することで、おのずと見えてくるものがあるのだ。

そして、大筋が判断できた時、将来よくなる業界の会社の動きを「四季報」を参考にして調べる。会社の内容、収益力などを比較して、ベストと思われる会社の株を買っておくのだ。

“自分だけの情報を集め、二合目、三合目で買い、じっと待つ”これが株式投資の妙味であり、原則である。

投資五ヵ条

一、銘柄は人が奨めるものでなく、自分で勉強して選ぶ。

二、一、二年後の経済の変化を自分で予測し大局観を持つ。

三、株価には妥当な水準がある。値上がり株の深追いは禁物。

四、株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する。

五、不測の事態などリスクはつきものと心得る。

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