こんにちは、管理人のみっちー(@m_hayashi )です。
今回レビューする書籍は、株式投資ではなくFXのテクニカル分析についてです。
森好治郎さんと鈴木隆一さんによる共著なのですが、株と為替はまったくの別物だそうで、ちゃんと勉強する必要がありそうです。
□■もくじ■□
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析
株式のテクニカル分析は支店営業時代に勉強していましたが、株と為替はまったく違う相場ですから、洋書を読んだり、通信社のセミナーに参加したりして、一から勉強のやり直しです。ところが勉強したとおりに分析をしてもなかなか当たらない。大きな損も何度も経験しました。机上と実践では、やはり大きな差があるんです。
P2-3
ファンダメンタルズ分析とは
ファンダメンタルズ分析とは、おもに経済の基礎的指標に注目し、相場がどう動くかを予測する分析手法のこと。代表的な指標としては、各国の金利、マネーサプライ、貿易収支、経済成長率、物価指数、失業率などがある。ほかにも金融政策に関わる要人の発言や軍事的な動き、企業やファンドの決済需要などが相場を動かす要因になる。注目すべき指標を挙げればキリがないが、基本的には金利水準が高く、経済力の大きな国ほど通貨は買われやすくなる。ファンダメンタルズ分析は、その国の国力の変化を注視して相場を分析する手法と考えておけばいいだろう。
P12
これに対して本書のテーマであるテクニカル分析は、通貨の価値そのものに着目し、過去の値動きから将来の値動きを予測する方法だ。為替相場を動かす要因はきわめて複雑だが、唯一絶対的に正しい情報が過去の為替レートだ。ある時点の為替レートは、そのときのさまざまな変動要因をすべて織り込んで形成されている。価格はあらゆる情報を数値化した絶対的な指標であり、数値による客観的な分析ができるのがメリットだ。
P12
ファンダメンタルズ分析では相場のトレンドしかわからない
ファンダメンタルズ分析は、相場のトレンドを見ることはできても、売買のタイミングまではわからないわけです。実際にトレードをするときに、どこでエントリーをしてどこでイグジットをすればいいというのが決められない。商品先物相場は、大きなレバレッジがかかっていますから、トレンドは読みどおりであっても、売買のタイミングを外すと損切りを余儀なくされることもあります。
P3-4
(中略)
現在の私は、格好良くいえばプライベートトレーダーという肩書きですが、要は相場師です。テクニカルとファンダメンタルズを組み合わせた「テクノファンダメンタルズ・アプローチ」という分析手法で、為替のトレードをしています。
テクニカルだけでは不安な面がありますし、かといってファンダメンタルズでは相場の水準が一切わからない。株であれば、ファンダメンタルズ的に妥当な株価水準を分析できると思いますが、為替の場合は違いますよね。例えば1ドル360円と1ドル90円の差は、ファンダメンタルズ、つまり国力の差ということができるかもしれません。でも1ドル100円と1ドル90円のときにファンダメンタルズ的に何か決定的な差があるかというと、わからない。だから為替の場合は、どうしてもテクニカル分析に頼る局面が多くなります。
P4
ファンダメンタルズ分析では、金利の変動で長期的には相場が動くというトレンドは予想できても、1日や1週間という短期の動きまではわからない。
P14
もちろんファンダメンタルズ面にきわめて大きな変化があったときは、それまでの値動きの流れと関係なく短時間で相場が急変することもあるが、そうした“有事”は頻繁に起こるわけではない。
ファンダメンタルズ的には考慮すべき情報がほとんどないというときでも、絶えずレートは変化しており、ユーロ/円などの通貨では突如として1円程度動くこともよく見られる光景だ。短期の場合はやはりテクニカル分析によって、短期的な値動きの傾向をつかみ、取引のポイントを探ったうえで取引したほうが、成功確率が上昇するはずだ。
情報の正しい取り方
今は情報を簡単にネットで入手できますし、投資をするのも簡単ですが、儲けるのは簡単ではないんです。手間を惜しんでは、儲けられないと思います。
P5
簡単に情報を得られすぎることが、逆に投資家にとってマイナスになっていると思います。さまざまな情報の中から、八方美人的に自分のポジションを正当化する情報だけを集め、それを基に投資判断をしてしまうのです。情報は手広く集めればいいというものではありません。信頼できる情報に絞り込み、うまくいっているときもそうでないときも継続してその情報を見ていくことが重要です。そうしなければマーケットの潮目を捉えるのは困難です。
例えばチャートにしても、時間軸を変えればいくらでも自分のポジションにとって都合の良い結論が得られるわけです。そういう情報の取り方をしたら、いけないということですね。
自分の過ちは素直に認めること
ディーラーやトレーダーと話していて面白かったのは、ついさっきまでものすごく強気に相場を語っていた連中が、5分も経たないうちに弱気になっていたりすることです(笑)。これは決して悪いことではなく、逆にそうでないとディーラーとして生き残っていけません。
P6
相場は何が起こるかわかりませんから、間違えたときはすぐに間違いを認めて行動しなければなりません。間違いを正当化しようとすると、どんどん泥沼にはまってしまう。
ある程度精度の高い情報に基づいて行動しているつもりでも、相場は生き物ですから、違った方向に動くことが多々あるわけです。それをその都度修正できる勇気がトレードでは必要です。私自身も判断を間違えたときには、なぜ間違えたのかを必ず振り返るようにしています。こんなにわかりやすいサインがチャートに現れていたのに、何で読み取れなかったんだろうと反省するんです(笑)。個人投資家の方も失敗したときの反省は、ぜひやっていただきたいですね。
反省や振り返りの積み重ねが経験則になり、その経験則が直感力や咄嗟のときの判断力として生かされるわけですから。
損切りは失敗ではない
相場で失敗しない人はいませんし、「損切りは失敗ではない」ということです。損切りは次のステップに進むための重要な決断です。では失敗とは何かというと、自分が信頼しているテクニカル分析のサインを無視して踏ん張ってしまうことなんですね。私の失敗は、いつもそれです(笑)。
P6-7
たいがいそうなんですよね。もうダメだと気付いた段階でやめておけば小さな損で済んだのに、無視して大損をしてしまうんです。逆にいえば、自分の中で決めたルールを守り通すことができれば、大儲けはしないまでも相場で生き残れると思います。
こうすれば損をするというのがわかってはいても、行動経済学が明らかにしているように、人間は完全に合理的には行動できません。そこが難しいわけですが、そうした人間の心理を、逆手に取るのもひとつの方法です。例えば相場が急変して含み損を抱え、ナーバスになっているとしましょう。私がそういう状況で想像するのは、同じように損を抱えて冷静な判断ができなくなっている連中がたくさんいるということです。するとどこかのポイントで一斉に損切りが出て、もう一度相場が大きく動く。この損切りの流れに乗じて儲けるトレーダーも出てくるわけですから、含み損を抱えたときは損切りのタイミングを計るのと同時に、ドテンするタイミングも冷静に探らなければいけません。
P7
ファンダメンタルズとテクニカルどちらが有効か
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析はどちらが優れているか、といった議論もあるが、優劣ではなく得意分野が異なると考えるといいだろう。
P12
前者は今後の相場の大きなトレンドを見定めるのに向く。一方、テクニカル分析は、売買のタイミングを計ったり、ある時点でのレートを予想するのに向いている。目的によって上手に使い分けることが大切だ。
テクニカル分析はファンダメンタルズ分析に比べ、売買のタイミングや予想為替レートを探るのに有利だ。その理由は為替レートを動かす要因が多岐にわたり、「なぜ今この価格なのか」がファンダメンタルズ分析だけでは説明しづらいからだ。
P14
為替レートの変動要因は多岐にわたる
株式であれば、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった指標があり、業界の平均値やその企業の資産規模、成長などをチェックすることで、理論的な株価水準をはじき出せる。
P14
しかし為替の場合は、きわめて多くの要素が、さまざまな方向でレート決定にからみ、需給面や投機筋の取引も影響を与えているため、ファンダメンタルズ面だけを見て理論的なレートを算出するのは難しい。
為替は金利で決まると言われているけども…
金利との相関関係は強いものの、通貨ペアの金利差が拡大したからといって、それがすぐにレートに反映されるとはかぎらないのは、投資経験豊富な方ならおわかりだろう。
P14
たとえば日米の金利差だけに着目した場合、金利差の縮小により円高が進むと説明できるが、金利差に変化がなくなると、今後の相場がどのように動くか説明できなくなる。
P15
ファンダメンタルズ分析の代表格である2カ国間の金利差だけに着目したとすると、日米の金利差縮小により、06年から09年にかけてドル安円高が進行したと説明できる。しかし08年12月以降は金利差が一定のため、価格の値動きを説明できない。一方、「米ドル/円」チャートのようにテクニカル分析は売買シグナルが出るため、ファンダメンタルズ分析にはない売買タイミングを計ることができる。
テクニカル分析は他の投資家も着目しているから重要なのだ
実はほとんどのトレーダーは、ローソク足や移動平均線を見ながら、レートの動きを予測し、その予測に基づいてトレードしている。このような行為こそがテクニカル分析であり、すでに多くの投資家にとって身近な手法になっている。
P14
トレードスタイル別で見る指標が変わる
【トレードスタイル】 | 特徴 | 時間軸 |
スキャルピング | わずかな利幅を狙って、数十秒から数分でトレードを繰り返す方法。1回のトレードの利益は小さいが資金効率がよいため、爆発的に資産を増大させることができる方法といえる。 週足や月足など長いスパンのチャートは一切見ないという人も多い。 | TICK、1分足、5分足(相場の方向性は30分足や1時間足で見る) |
デイトレード | トレードをその日のうちに完結させるスタイル。原則的に1回のトレード時間は15分程度からその日の取引終了まで。翌日へポジションを持ち越さない。 | 15分、30分足(相場トレンドをつかむために1時間足、日足も見る) |
スイングトレード ウィークトレード | 数日から1週間にわたってポジションを持つ。スキャルピングのように、パソコンの前に1日中いる必要がないのはメリット。トレードチャンスは、デイトレードに比べると少ないが、その分、実質的な手数料であるスプレッドがかさまないのはメリット。 | 1時間足、日足、週足(売買タイミングは15分足や30分足を利用) |
ポジショントレード | スイングトレードよりさらに大きな利益を目指していくので、ある程度の値下がりは許容するスタイルとなる。 | 週足や月足で大きな転換点を見極める |
長期保有(バイアンドホールド) | 通貨発行国のファンダメンタルズに着目する。 | 週足、月足 |