営業

ZUU社長の伝著【営業〜野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて】冨田和成著

投稿日:2019年6月26日 更新日:

今回はこちらの書籍をシンプルにまとめてみました。

ZUUオンラインなどを手掛ける株式会社ZUUの社長の本ですね。
2018年に上場を果たすなど躍進している会社の創業者だけにとても勉強になりそうです。

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□■もくじ■□

因数分解力

営業には奇抜なアイデアは不要で、因子の見落としさえなければ結果は必ずついてくる。
これが私の持論だ。
企画系の仕事なら発想力は必要だし、そのためには課題を因数分解するだけでは不十分だろうが、確率の世界にすぎない営業は、こういった当たり前のことを当たり前にやり続けるだけでトップセールスになれる(もちろん、「やり続ければ」だが)。

やることが明確になるまで深掘りする

因数分解に慣れていない人は、往々にして分解が甘い。本人的には分解し尽くしたと思っても、2段階くらい分解したら思考が止まっているケースがほとんど。これは若手メンバーを指導するなかで、毎日痛感していることだ。
では、どこまで深掘りすればいいかというと「やることが明確になるまで」だ。

大きな数値目標は必ず分解する

大きな数値目標も、やはりやるべきことがはっきりするまで分解するのが基本だ。
たとえば年間売上目標が5000万円だとしたら、まずそれを月単位などに分解してみる。
すると月間416万円になるので、それを平均客単価で割る。仮に40万円だとしたら、月に10.4件の契約が必要になる。さらにそこから自分の過去のクロージング率やアポ率などを使って計算をしていけば、1日あたりのアプローチ件数や用意すべき顧客リストの数などが見えてくる。

PDCAを継続することの難しさ

・PDCAを習慣づけるコツは実はシンプルで、同時に多くのPDCAサイクルを回さないこと、そしていきなり大きな課題に取り組まないことだ。

・慣れるまでは本当に優先順位の高いものだけを選んで、集中的に回すことだ。

ニーズの仮説構築に役立つ情報源

講演、インタビュー記事、書籍

【ターゲットの過去、性格、思想、夢など】
著名な経営者であればさまざまな媒体で過去の講演やインタビューを読める。年配の経営者であれば過去の武勇伝を褒め、若い経営者であれば目指している夢について話を振ると喜ばれる可能性が高い。

通知機能を用いた情報収集の自動化

情報収集の効率化を図る有効な手段としては通知機能も多用していた。
特に効果を発揮するのが、頻繁に連絡を取るわけではないが関係性は維持しておきたい見込み顧客だ。
グーグルアラートというサービスがある。これは登録したキーワードの最新情報を自動でピックアップしてくれる。たとえば、見込み顧客の社名やサービス名をこのグーグルアラートに登録しておけば、当該企業がプレスリリースを出したときや、ニュースで取り上げられたときに、その情報をいち早く検知できる。もしそれが初めて海外支店を設立したというニュースなら、すぐにお祝いの電話をかけつつ、「海外進出される企業さんって、為替取引や現地開拓で苦労されることが多いんですよね」と、いきなり課題の話を振ることができる(これもまさにニーズの仮説構築)。

※Google Alertについてはこちら

アプローチ

決裁者から攻める

・人は意識しないと楽な道を選んでしまう。
・レイヤーを下げればアポが取りやすいし、精神的にも楽だ。だからついつい下から攻めたくなってしまう。
・やはり最終決裁は経営者の承認が必要で、私はその経営者に対して直接ニーズ喚起をしていないのだから当然だった。
・その失敗を踏まえて、私は基本的に上から当たって、そこで「下に確認してくれ」と言われたら初めて下に当たるようにした。
・そのときは「社長に言われた」という大義名分があるので、すんなり会ってくれる。
・というのも最初から下を攻めて徐々に上に攻め上がっていくと、毎回、最初にコンタクトした下の社員が「担当者」として打ち合わせについてくる。

メリットよりもデメリットを強調

・まず、相手にメリットを感じてもらう伝え方として、「私たちはあなたに◯◯に関して貢献ができる」よりも、「これをするとあなたは◯◯を得ることができる」の方が強い効果がある。

・「メリットを得る事ができる」よりも「デメリットになる」と感じてもらう方がインパクトが大きい。
・「私に会ったら得する」と伝えるより、「私に会っておかないと損する」という伝え方の方が強い効果がある。


「このサービスを他者が先に導入してしまったら大きな脅威になる」
「通常より15%高いコストを払ってしまってお金を損していますよ」

受付突破を制するものは営業を制す

まず前提の話をすれば、受付が会社から課せられたミッションは、わかりやすく言えば「いかに侵入者を排除するか」だ。

受付突破の2大パターン

①自分と相手(経営者や担当者など)との関連性を感じてもらう

・◯◯の会でお会いした
・◯◯の会でご一緒した(話はしていない)
・社長の記事を拝見した
・社長のSNSをみた
・お取引先の◯◯銀行の公募増資の件で
・社長と同じ◯◯で、会誌をみて連絡した

②提案と相手のニーズの関連性を感じてもらう

・この1週間の為替急変で大きな損失になっているのではと思いまして、その喫緊の対策で電話させていただきました
・積極的に採用されているにも関わらず、社員数が増えていないのを拝見して、社員の離職率が高いと思い、その対策として来年の御社の退職金や福利厚生を拡充する話を社長に直接ご判断願いたいのですが⇨受付にもメリットある。
・今年度の御社の業績を大きく左右する話ですので、一応、社長のご判断を仰いだ方がよいかと思いますが
・御社の取引先(競合先)の情報を仕入れる事ができたので、それを社長にお渡ししたく
・先日御社のIR情報を見させていただき、◯◯の部分が大きな課題と明言されており、その解決策の情報提供の件で
・御社のサービス利用者のアンケートをまとめたのでお渡ししたいのですが

自作メルマガ

・メルマガといっても不動産業界や建設業界、もしくは為替関連の情報など各業界にとって有益だと考えられる情報を新聞や雑誌から集めてきてスクラップし、2週間に1回くらいのペースでひとまとめにしたものにすぎないが、それに名刺をセットにして定期的に送っていた。
・あらゆる業界には、業界特化の新聞や情報サイトが存在しているので、それを活用すればいいだけだ。
・「DMが読まずに捨てられる原因はForYou(あなたのため)だと思われにくいからではないか?それに経営者は多忙な人が多いから編集された情報はありがたがられるんじゃないか?」という仮説から思いついたものだ。

速達で送る

どうしても開封してほしい重要な顧客に対しては、普通郵便では開封率が低いと思ったので、速達で送っていた。ほぼ使ったことはないが、バイク便だとさらに効果がある。これも、もし自分が速達やバイク便で何か届いたら絶対に開けるだろうという仮説がベースになっている。

受付突破率が上がる

・経営者がその資料を読んでいようといまいと、受付で「いつも業界情報を提供させていただいている者ですが」と堂々と言えることだ。
・私の経験上、5人に1人くらいは読んでくれていて、そういう経営者は「ああ、君か。いつも送ってくるのは」と言いながらあってくれた(特に建築業の経営者からの反応はとてもよかった)。

面談の目的はニーズ喚起

顧客側が「売ってください」と思う状態に持っていけば、必死に説得する必要もなければ、値引きする必要がないということだ。もっと言えば、ニーズ喚起が十分できればプレゼンプロセスにそこまで気合いを入れる必要はないとすら思っている。
だから私は基本的にニーズ喚起が十分できたと確信が持てるまで商品・サービスのプレゼンはせず、2回、3回と面談を繰り返した。

戦略的雑談で自然と本題に入る

・先日、私のところに金融機関から若い営業が来た。
昔の自分を思い出しながら、相手の営業がどうやって話を切り出してくるのか楽しみにもしていた。
彼は私の過去の本を読んできてくれたようで、最初にサッカーの話を持ち出した。彼も学生時代サッカーをやっていたそうで会話はそれなりに盛り上がったのだが、時計をチラッと見た瞬間に急に真面目な表情になって「……で、そろそろ本題なのですが」とトーンを変えて来たのだ。

せっかく和らいだ空気だったが、その流れがブチッと切られてしまった。

相手の課題(と思われる話)の遠からず近からずのところから始めて、いつの間にか本題に入っている。これが理想の面談だ。

もしサッカーの話から入るのであれば、監督の話にシフトして個性派集団を束ねる難しさの話でもして、そこから会社経営に持っていってもいいし、スター選手の高額年俸やその運用方法の話をして、優秀な人の採用の難しさや資産運用の話にしてもいいだろう。上記の流れのまま税制対策を切り出すなら、プライベートバンクの聖地スイスでの脱税で有罪判決を受けた、リオネル・メッシ選手の話から入ってもいいかもしれない。

人間的信頼関係とビジネス的信頼関係の両立

人間的信頼関係とビジネス的信頼関係の違いは、信頼感と信頼性の関係にも近い。

人間的信頼

「信頼感」の方で、「必ずやり切ってくれる」「全力を尽くしてくれる」「ウソを言わない」「騙さない」といった「感情」に関する話だ。

ビジネス的信頼

「信頼性」の方で、「すごく使いやすい」「壊れにくい」「便利である」といった「機能や品質」「合理」に関する話だ。

アップルは両立しているから信者が多い

アップル製品に熱狂的な信者が多いのは、まさに信頼感と信頼性の両軸を高めているからである。「好きだけど故障が多い」のではいずれ顧客もしびれを切らすし、「機能はすごいけど愛着はない」のでは、その機能に少しでも不満を持たれたら見捨てられる。

ドラえもん

私が理想とする仮説営業は、高い問題解決能力を持ち、なおかつ顧客に寄り添える人間臭さを兼ね備えている、まさにドラえもんだ。

商談を決定づけるニーズ喚起の4大要素

①必然性

特に相手の不安を喚起するもの。

例:痩せないと成人病になる恐れがあるから、ジムに加入すべきだ。

②効用

相手にとってプラスに働く側面を強調する。
必然性が不安の喚起なのに対して、効用は欲望の喚起とも考えられる。

例:痩せたら長生きできるので、ジムに加入すべきだ。

③実現可能性

ライザップのCMは「効用」とこの「実現可能性」を全面に押し出している。

例:このジムはダイエット成功率9割だから、加入すべきだ。

④緊急性

・いま契約することの意義を強調する。
・背中を押すには、買い手の優先順位を上げる理由をつけないといけない。

例 :もうすぐ海やプールのシーズンだから、ジムに加入すべきだ。

プレゼン

プレゼンの基本形

①課題の復習(Whyの明確化)

例:「あなたの保有資産は円が95%を占めており、日本の低金利と財政破綻リスクに備えた国際分散投資の必要性がありますね」

冷めたニーズを温め直す必要がある。
人間は平気で忘れてしまう。
決裁権を持つ人は総じて忙しい。

②解決策の提示(Whatの明確化)

例:「ハーバード大学は分散投資のお手本のようなポートフォリオを組んでおり、○○さんも最終的にはここまで辿り着けると理想的ですね」

③実行策の提示(How・When・Whereの明確化)

例:「こういった最終形態に近づくために、まずは通貨のところから配分を考えましょう。具体的には円で保有している半分を、ドルに4割・ユーロに3割・新興国通貨に3割振り分けましょう」

営業感を出さない

「ぜひご支援させていただきたく」
「ぜひ弊社にやらせていただきたく」

こうした言葉づかいは、実は顧客の決断を左右するほどに、非常に影響が大きい。顧客の立場からすれば、営業感のある言葉を出されると気持ちが急速に冷める。

プレゼンの「主語が誰か」を見る

先ほどの例で言えば
「『我々に』支援させていただきたい」
「ぜひ『弊社に』やらせていただきたい」

私たちは、相手の課題の解決策のためのアイデアを提供しているわけであって、こちらが売り込みたいものを提案しているわけではない。その前提を間違えないようにしたい。

だからこそ、表現としては、少し大げさなほど何度も相手が主語である形でプレゼンをすると相手に想いは伝わりやすくなる。

スペシャリストということを示し、認めさせる

対等な関係を築くという意味で言えば、ある分野のスペシャリストだということをきちんと示し、認めさせることも重要だ。とくに金融や不動産といった情報の非対称性が大きい分野では、世の中のハイエンド層からすると自分が知らない分野であり、立場が逆転する分野だ。だから相手を尊重しつつも、こちらもプロとしての言動が求められる。できれば顧客から「先生」と呼ばれるくらいの存在になると、主導権を得やすくなり、また受注する可能性も高くなるし、受注金額の桁も変わってくるだろう。

検討期間は必ず期限を切る

目安としては金額が小さな案件であれば3、4日。金額が大きいなら1週間くらいがちょうどいい。「明日お返事いただけますか?」だとあまりにがっついている悪い印象を残すし、2週間も空けるのはやりすぎだ。

紹介

エッジの効いた「自分ブランド」を確立する

人が誰かを紹介する動機
「人間的に好かれている」ことは前提としてあるが、それ以前に
「紹介に値するかどうか」がクリティカルになる。

いくら性格がよくても営業としては半人前の人間を友人に紹介したいと思うだろうか。

自分を紹介してほしいなら、「わかりやすい修飾語または形容詞」をつくることが肝心になる。
ビジネスにおいて、その修飾語や形容詞は次の4つの因子のどれかにひもづくだろう。

人、モノ、金、そして情報

金の例
「金融知識が豊富で資金調達や税制対策に詳しいから会ってみない?」
人の例
「経営者ばかり開拓している子で、人脈がすごいから会ってみない?」
情報の例
「大学時代にITで起業していて、IT業界や周辺に詳しいので会ってみない?」

交流会などで名刺交換をするときに「野村證券で営業している冨田です」と言ってもただの証券マンという薄い印象しか残せないが、その後に一言「事業承継のスキーム構築を年間20件くらいこなしています」と付け足すだけでエッジが立つ。その会場にリタイアを考えている経営者がいれば、名刺交換をした人が後で紹介してくれるかもしれない。

多くの人はこのような名刺交換の場で、「こんな人がいたら紹介してくださいね」と言ってしまう。

自分からわざわざ紹介してくださいと言わなくても、自分の強みをズバリ相手に印象づけることさえできれば、向こうから声がかかることが多いのだ。

紹介の基本はGive&Give

紹介されたいなら、まずは自分が誰かを紹介すること。これも基本だ。
一方的に紹介されるだけの間柄では、いずれ「失礼なやつだ」とレッテルを貼られかねない。

特に経営者や富裕層のコミュニティーでは、基本的に2人紹介したら最低1人は紹介されるというのが暗黙のルールのようになっているといっても語弊はないだろう。

新規開拓に集中する日を設ける

新規開拓をおろそかにしないために「水曜は新規開拓デー」と自分で勝手に決めて新規開拓に励むようにしていた。その日だけは既存顧客から電話がかかってきても、よほど緊急な話ではない限り折り返さないくらいだった。

勉強をするときもそうだが、何か別のことをやろうとするとき、人にはウォームアップの時間が必要になる。集中のスイッチが入るためには30分くらいかかるという話を聞いたこともある。その点、一日中新規開拓をするなら作業が小間切れにならない。

定期的に思考を言語化する(絶えず問い続ける)

人のモチベーションが著しく下がるタイミングとは、課題がわからないときか、課題がわかっても打ち手がわからないときと相場が決まっているいる。

それを防ぐためには絶えず問い続けることが必要であり、思考の言語化はその有効な手段になる。

成長につながらないものに時間を割かない

私も新人の頃、DMのポスティング、高齢者開拓、巻き紙営業は一通りやってみた。
でも、自分の時間を切り売りする感じに違和感を持ってメインにすることはしなかった。
というのも、手紙をひたすら書いている時間も、足を棒にしてポスティングしている時間も、会社の前で経営者の出社を待つ時間も、自分の能力が高まるわけではないからだ。

だから私は手紙を書いたりする時間を捨てて、顧客の情報収集と仮説構築、金融知識の勉強や業界の研究、そして、ここが一番重要だが、日々の振り返りに時間を割いた。字のうまさでは先輩に勝てないかもしれないが、成長速度だけは絶対に負けないようにしたのだ。

苦手な分野は理論武装すればいい

誰しも苦手な分野を持っている。
そこから逃げるのも一つの手だが、苦手なら意識的に理論武装をして「好きではないけど、なんとかなるレベルにしておく」という姿勢の方が私は好きだ。

モチベーションの維持とセルフトーク

セルフトークとは、自分の目的・目標意識をこのレベルまで高める仕組みだ。
具体的な例でいえば、たとえば私は毎朝自分の目標を鏡の前で唱えていた。また、家に帰れば振り返りの時間を取り、自分と対話をしながらPDCAの回し方について考えていた。

昔から「流れ星が消えるまでに3回願いを言うと叶う」と言われているのは、それくらい瞬間的で突発的なことが起こったときに、瞬時にその願いを出せるくらいであれば、それは真の目標であり、日々の生活や行動基準にも当然浸透しているはずで、その願いが叶う地盤がすでに整っているということだと思う。

ゲーミフィケーション

近年、ゲーミフィケーションという考え方が生まれ、注目されている。
これはコンピューターゲームで培われた「経験値とレベルアップのシステム」や「バッジや宝物の収集」といったユーザーのやる気・楽しさを上げる仕組みを、現実のビジネスや社会問題に適用して解決を図ろうというものだ。
数字目標の意識と徹底は、このゲーミフィケーションの一つだともいえる。

意味合いや目的を重視する20代

いまの20代とバブルを経験した40代後半あたりの上司世代の感覚は大きくかけ離れている。マネジメントに戸惑っている管理職も多いはずだ。
金銭的な対価よりもやり甲斐を重視する若い社員も増えていて、そんな彼らに「結果を出せばお前もベンツに乗れるぞ!」とか「もっと頑張れば、最年少で部長になれるかもしれないぞ!」といったロジックは通用しにくい。

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